Raspberry Pi シェル内でOS経過時刻を判定する

Raspberry Pi Zero WHに4Gモジュールを接続する3にて、OS起動時から規定経過時間以内に、PPP接続できなかった場合、OSリブートするように仕込みました。その仕込み先は、シェルスクリプトですが、規定経過をどのように判定したかを解説します。

通常、シェル内で現在時や取得できますが、OS起動からの経過時刻を取得するコマンドが見つかりませんでした。..しかし、 pythonでは組みたくない。言われてみるとWindowsにもないような... .困りました...そうだ 新しいコマンドを作ってしまえばいい。

OS起動からの経過時刻は、カーネルシステムコール:times() です。コマンドのソースコードは以下の通りです。ラズパイでは単位はmsecになるようです。

#include <stdio.h>
#include <sys/times.h>
#include <memory.h>

struct	tms	tmwk;

int main(int ac, char **av)
{
	printf("%lu\n", times( 0 ) );
}

デバック不要なので、コマンドラインで一回だけビルトします。

cc -o passtime passtime.c 

このpasstimeコマンドを、シェルから ` …` で呼出し、シェル変数に取り込みます。

START_10MSEC=`passtime`

while [ 1 ];do
   NOW_10MSEC=`passtime`
   PASS_10MSEC=$(( $NOW_10MSEC - $START_10MSEC ))

   # pass 5 min
   if [ $PASS_10MSEC -gt 30000 ];then
	shutdown -r now 
   fi

   # under flow timer
   if [ $PASS_10MSEC -lt 0 ];then
	shutdown -r now >> $ASAHI_LOG
   fi

一応、アンダーフロー時も処置しておきます。

Raspberry Pi Zero WHに4Gモジュールを接続する3

前回記事

前回ラズパイと4GモジュールのPPP接続まで説明しました。今回は、実用面での課題を述べます。

① USBラインの瞬断

USBケーブルするタイプの4Gモジュールの場合、コネクタのぐらつきで瞬断する場合があります(もしくは想定されます)。IoT機器内に設置する場合、ケーブルの取り回しでストレスがかかることも。マイクロusbならなおさらです。

いろいろと試したところ、一度接続異常が発生すると、ラズバイがハングする場合があるようです。USB接続がぐらつかないよう物理的に対策をしておくことをおススメします。例としましては、

  • USBケーブルをケース等に固定する。
  • 取回しスペースが狭い場合、L字のUSBケーブルを使用する。
  • 可能な場合、ラズパイのserialポートで、4Gモジュールと接続する。

② USBラインのノイズ

USBはノイズに弱いので、規定以上発生すると、PPPが断線します。ノイズの出やすいIoT機器の場合、どこに設置されるか想定できない機器の場合、配慮が必要です。実際に弊方でも本番装置に搭載後、予期無くPPP断線しました。以下そのsyslogの内容です。

Mar  2 10:33:20 raspi kernel: [ 1435.722327] usb usb1-port1: disabled by hub (EMI?), re-enabling...
Mar  2 10:33:20 raspi kernel: [ 1435.722387] usb 1-1: USB disconnect, device number 2

EMI?(電磁障害かも)とラズパイは言いたいようです。この事象が発生すると、OSその他動作は継続するものの、OS再起動しないかぎりPPP接続が復帰しません。対策としては、PPPの接続状況を常時監視し、切断したらOS再起動さるシェルスクリプトを作成し、rcから起動し常駐化せました。以下そのスクリプト例です。

#!//bin/sh 
PPP_ON=0

while [ 1 ]
do
    # Check PPP gen device
    ifconfig ppp0 > /dev/null
    RET_PPP=$? 

    if [ $RET_PPP -eq 0 ];then
        PPP_ON=1
    else
        # Turn PPP on to off
        if [ $PPP_ON -eq 1 ];then
           echo "Catch to turn PPP on to off."
               :
           ( いろいろ後始末 )
               :
           shutdown -r now
        fi
    fi

    sleep 30
done

ifconfigコマンドで、PPP切断を判別してみました。リブート中は応答できなくても許容されるシステムに場合に限ります。

なお、本当のノイズか白黒つけるには、放射電雑試験を行うべきてすが、大きな電機メーカさんでも絡んでないと難しいです。

③ 起動時のチェック

動作環境によって、必ずしも起動時に、PPP接続できるとは限りません。可能なかぎり以下チェックをいれます。カッコ内は、チェックのためのコマンド例です。

  • 4Gモジュールを認識しているか? ( lsusb | grep Qualcomm )
  • WAN接続できているか? ( ifconfig wwan0 > /dev/null )
  • PPP接続できているか? ( ifconfig ppp0 > /dev/null )
  • ルーティングが正常か? ( route | grep ppp0 )
  • ドメインにパケットが届くか? ( ping 対象ドメイン -c 3 )

起動後、すぐにPPP接続はできないので、数秒置きに数分繰り返し、PPP接続できない場合はOSリブートするしかないですね。上位の管理機器があれば、そちらに知らせて処置するが妥当でありましょう。

Raspberry Pi Zero WHに4Gモジュールを接続する2

前回記事

前回ラズパイと4Gモジュールの接続確認を説明しました。今回はインターネット接続まで行います。

① PPP接続準備

まずPPPパッケージ(ドライバ?)を以下のようにインストールします。

$ apt-get install ppp

ppp接続を、APN(インターネットプロバイダ)毎の設定を編集します。ひな形の入手先は忘れましたのでファイル全体をのっけときます。以下太字部をAPNに合わせて変更します。ファイル名はAPN名とします。今回は “rnet” としました。

# example configuration for a dialup connection authenticated with PAP or CHAP
#
# This is the default configuration used by pon(1) and poff(1).
# See the manual page pppd(8) for information on all the options.

# MUST CHANGE: replace myusername@realm with the PPP login name given to
# your by your provider.
# There should be a matching entry with the password in /etc/ppp/pap-secrets
# and/or /etc/ppp/chap-secrets.
user "APNログイン名@APNパスワード名"
# MUST CHANGE: replace ******** with the phone number of your provider.
# The /etc/chatscripts/pap chat script may be modified to change the
# modem initialization string.
connect "/usr/sbin/chat -v -f /etc/chatscripts/gprs -T APN名"
# Serial device to which the modem is connected.
4Gモジュールの接続先デバイスファイル名(例:/dev/ttyUSB2)
# Speed of the serial line.
4Gモジュールとの通信速度(例:115200)
# Assumes that your IP address is allocated dynamically by the ISP.
noipdefault
# Try to get the name server addresses from the ISP.
usepeerdns
# Use this connection as the default route.
defaultroute
# Makes pppd "dial again" when the connection is lost.
persist
# Do not ask the remote to authenticate.
noauth

ラズパイのGPIOで接続指示するタイプの4Gモジュールの場合は、GPIOへの出力を開始します。以下、GPIO 6で、接続を開始する一例です。

#!/bin/sh

# Port of 4G-module on/off is enable.
echo "6" > /sys/class/gpio/export
sleep 0.1

# Set port of 4G-module on/off mode to output.
echo "out" > /sys/class/gpio/gpio6/direction

# Turn on 4G-module.
echo "0" > /sys/class/gpio/gpio6/value

② PPP接続実行

“rnet”は、/etc/ppp/peers/ に配置します。配置後、PPP接続コマンド”pon”を以下のようにたたきます。もちろんスーパーユーザで。

$ pon APN名

接続を確認するには、ifconfig をたたけばよいです。以下のようなにppp0とwwan0が現れればOKです。

ifconfig

ppp0: flags=4305<UP,POINTOPOINT,RUNNING,NOARP,MULTICAST>  mtu 1500
        inet 100.70.xx.xx  netmask 255.255.255.255  destination 10.64.xx.xx
     (中略)

wwan0: flags=4163<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST>  mtu 1500
        inet 169.xxx.xx.xx  netmask 255.255.0.0  broadcast 169.xxx.xx.xx
    (中略)

接続が確認できない場合は、エラー内容はsyslog に出力されているので、内容を確認します。尚接続解除は、”poff”コマンドをたたきます。

OS再起動時、PPPは自動接続されますが、ラズパイのGPIOで接続指示するタイプの4Gモジュールの場合は、rcスクリプトにGPIOへの出力を追加する必要があります。

③ インターネット接続確認

適当なドメインにpingで確認すればよいでしょう。PPP側のルーティング情報を、ルーティングコマンド”route”で以下のように追加設定します。

$ route add -net 0.0.0.0 ppp0

pingの結果は、以下のとおりです。初回すこし時間かかります。ping拒否のドメインもあるので、yahoo かgoole、自社ドメインが適当です。

$ ping yahoo.co.jp
	
PING yahoo.co.jp (183.79.xx.xx) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 183.79.xx.xxx (183.79.xxx.xxx): icmp_seq=1 ttl=51 time=46.5 ms
64 bytes from 183.79.xx.xxx (183.79.xxx.xxx): icmp_seq=2 ttl=51 time=159 ms
  ( 後 略 )

④ 自動接続設定

ルーティング設定は、OS再起動するとなくなるため、OS起動毎に設定する必要があります。当方では、ppp接続後に自動呼出しされるスクリプト”/etc/ppp/ip-up”に追加しました。

#!/bin/sh
    (中  略  )
# if pon was called with the "quick" argument, stop pppd
if [ -e /var/run/ppp-quick ]; then
  rm /var/run/ppp-quick
  wait
  kill $PPPD_PID
fi

/sbin/route add -net 0.0.0.0 ppp0

# Donot exec this shell. exec from /etc/init.d.
##/home/remolog/remolog_main.sh &

また、当方ではラズパイの無線LAN側を、DHCPでなく固定IPでないとうまくいきませんでした。何かの誤りかもしれませんが、注記いたしておきます。

PPP接続側は、/etc/network/interfaces に以下太字部を追加します。

# interfaces(5) file used by ifup(8) and ifdown(8)

# Please note that this file is written to be used with dhcpcd
# For static IP, consult /etc/dhcpcd.conf and 'man dhcpcd.conf'

# Include files from /etc/network/interfaces.d:
auto rnet
iface rnet inet ppp
provider rnet

source-directory /etc/network/interfaces.d

これでインターネット接続までできました。実用時の問題と対策に続きます。

次記事

Raspberry Pi Zero WHに4Gモジュールを接続する1

コンパクトなRaspberry Pi Zero Wに、4Gモジュールを接続してIoTシステムを構築しました。Pi Zeroと4Gモジュールの接続について解説していきます。諸事情により4Gモジュールの機種は非公開ですが、USB接続、コアチップはQualcomm製ですのでHowToとしは汎用性があるかと。以下テーマに分けて解説していきます。

① ラズパイ側の対応

始めるまでしりませんでしたが、ラズバイは4G接続に予め対応しています。ただしOSは、Raspbian GNU/Linux 10 kernel 5.15あたり以降が良いようです。kernel 5.4では認識しませんでした。その上で以下のように最新化したほうがよいでしょう。尚当方ではsudoは使用せず、su – rootで常時スーパーユーザで作業しています。

apt update
apt -y upgradeapt dist-upgrade -y
rpi-update
apt autoremove -y
apt autoclean

4GとUSBでつなぐので場合、標準のserial通信は殺します。

systemctl disable serial-getty@ttyS0.service

4Gモジュールをラズバイに接続して、以下のコマンドをたたくと認識しているか確認できます。

②4Gとの初期チェック

まず初期チェック用に、”minicom”ユーティリティをいれます。以下コマンドです。

apt-get install minicom

4GモジュールとUSBがつながると、/dev/ttyUSB2 に通信ポートが割り当てられます。以下コマンドをたたきます。通信速度は11,520程度、echo backはONにします。

minicom -D /dev/ttyUSB2

4Gモジュールとのやり取りは、ATコマンドを使用します。ATコマンドは元々有線電話回線用の標準コマンドでしたが、無線用に拡張されて今に至っているようです。ネットで検索すると、いろいろ仕様がでてきます。”minicom”で以下の”AT ~”の部分たたき、以下のように応答が返ってくればOKです。SIMは差しておきます。

AT                            
OK
AT+CNMP=38
OK
AT+CSQ
+CSQ: 19,99
OK
AT+CREG?
+CREG: 0,1
OK
AT+COPS?
+COPS: 0,0,"NTT DOCOMO NTT DOCOMO",7
OK
AT+CPSI?
+CPSI: LTE,Online,440-10,0x1249,49418752,201,EUTRAN-BAND1,276,4,4,-74,-1005,-746
OK

最後のコマンドで “Low Power Mode” となる場合、PCから電源供給しているれようなら、5VのACアダプタから供給したほうがよいでしょう。

つづいてインターネット接続に続きます。

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VAIO S11:VJS112 のSSDをVAIO PRO Pg用256GBに換装する

カッコよいコンパクト最軽量ノートでVAIO S11:VJS112、出張用事務PC: VAIO X の Windows 8 がサポ切れなのでの代わりに導入。4G対応の程度の良い中古がなかなかなく、仕方なく Win10 Home / SSD128GB のものを購入し、SSD を換装したときの覚書きです。

SSD 換装

状態を確認します。ほとんど使われていなかったPCのようです。オリジナルスペックはこちら

SSDは M.2 というタイプです。先刻SSD換装して余ったVAIO PRO Pgのオリジナル256GBと同じ規格です。SSDのコピー方法はVAIO PRO PGの記事に書いてあります。コピー後SSDを取付け、特に問題無しです。

Homeだと bitblockerが使えないなど不便が多いです。Microsoft store から アップグレードライセンスを購入。13,824円でした。作業は特に問題無しです。